RATsと僕。ゼロのこれまで、イチの今、NESTの未来。
Reuse AId Techは、僕=代表 佐々木(当時24)が2022年に立ち上げたばかりの新米チームです。
チームといっても、RATとしての活動はずっと一人でしてきました。
そんな僕が、なぜ今、登録制のボランティアを開始したのか。
きっかけと、これからについてお話します。
2018年に、いわゆる被災地住み込みに近い形の活動に加わり、年間200日以上、時には300日を超えるボランティア活動を行ってきました。
そんな特殊ともいえる支援環境に関わりはじめて1年と少し経過した2019年は、台風15号をはじめとする被災地支援のため、千葉県にいました。
そこで、長期にわたる「ボランティアゼロ」と「被災者の手をつかめない」経験をしたことが、このボランティア登録という活動の構想をスタートさせたきっかけでした。
令和元年台風15号被害から鴨川市へ。そしてコロナ。
千葉県の支援活動は年をまたぎ、2020年になっても、変わらず毎日、続いていました。
そんな新年を迎えたばかりのある日、テレビからながれてきたのは「クルーズ船と、謎の疫病」のニュース。
僕は当時、NPO法人に所属していました。その団体は、社協ボラセンが相談受付センターに移行したタイミングで、鴨川市委託の民間災害ボランティアセンターを開設。僕は唯一の現場運営スタッフとして、災害ボランティアと運営関連業務をしていました。
その鴨川市に「亀田総合病院」という、日本屈指の大きな大きな病院があります。
そこで、最初に感染が確認された「クルーズ船」の患者さんの受け入れが行われたのです。
そういう後の世代の教科書に載るであろう疫病を、ここまで肌身で感じたことは初めてだったので、とても驚いたことを覚えています。
しかし、何もわからない僕でさえも、毎日毎日、ニュースやSNSの騒ぎが続けば、「世界的な異常事態である」ということは理解していました。
活動自粛要請、それでも続けようとした。
鴨川市の災害ボランティアは、ほとんど県外、それも近隣の東京(首都圏)からきているボランティアでした。
もちろん、地元にもボランティアさんいるのですが、この台風をきっかけにボランティアを始めた方ばかり。
災害ボランティアセンターへよせられるご依頼の多くが、屋根から雨漏りしてるからなんとかしてほしいという「高所作業」。まだまだ県外の力でサポートをしている段階でした。
県外移動などがバッシングされるようになってくると、ボランティア活動も自粛ムードが漂い始めました。
それでも、被災地には、家がカビだらけで天井も腐って落ちてきているなか生活している人、雨漏りの水で足を滑らせケガをしてしまった老夫婦、困っている人の声がありました。
「コロナにかかったら、しぬかもしれない。でも、このままの生活だって、命にかかわる。」
まず、活動募集が団体内など限定になり、表立って人を集めることをやめました。
活動報告には、感染対策について必ず書き、マスク未着用の写真や、近い距離の写真などを一切あげなくなりました。
ボランティアさんを、徐々に集められなくなり、曜日限定になっていきます。
対応しきれないニーズがたまり、ご依頼の受付も、制限がかかるようになってきました。
単に募集ができないだけでなく、災害から半年程度になって出てくる依頼というのが、非常に難易度の高い危険な現場だったり、福祉的ケアも必要で慎重に支援を進める必要があるものが増えることも、支援停滞問題の背景にあります。
そして、ボランティアゼロの日々。
晴れた日。風のない穏やかな日。困っている人が目の前にいるのに、何もできず話を聞くことしかできない僕。
日々、できることといえば、市内を走り回って、被害写真や状況を地図にまとめたり、被災者さんに電話をかけて状況確認をすることでした。
それも重要な作業だったのですが、「困っている」と言われたとき、何もできないことは、苦しいことでした。
あと一人、誰でもいい、きてくれれば。
そう思う日々が、何日も何日も続きました。
僕のいた鴨川市だけでなく、近隣市も被災し、そして同じ問題を抱えていたといいます。
2020年春。
とうとう、一回目の緊急事態宣言。そして、活動停止の指示がだされました。
それから毎日、ボランティア活動の記録は「ゼロ」になりました。
ガイドラインの作成、近隣被災市のボランティア団体と連携し、活動再開へ。
千葉県には、「千葉南部災害支援センター」という、南房総被災域の支援をまとめる中間支援組織がありました。
それまではお世辞にもうまく機能していなかったのですが、緊急事態宣言によって県外NPO法人の撤退に伴い、鴨川市のボラセン業務の引継ぎ先になったのです。
引継ぎをする時間も、引継ぎ事務員もいなかったので、僕は6月の活動再開にあわせて、スライドしてセンターの臨時スタッフになりました。
そこで、まずはじめに「新型コロナウイルス感染症拡大状況下での活動ガイドライン」の作成に取り掛かりました。
活動停止の期間中も、僕は一度も家に帰らず、被災地に残り続けていました。
その時間のおかげで、すでに頭でほぼ構想ができあがっていたので、ガイドライン公開は、ボラセンだと国内初ですという速度感をもって行えました。
ガイドラインには、施設の利用や消毒方法の具体的対策はもちろんのこと、
生命への影響など緊急性の高いニーズはコロナ禍であっても対応が必要なことや、県外の専門家の必要性、判断材料など活動全般のことを盛り込みました。
そして、センター長の伝手により、テレビ取材を通し、被災地の現状と感染防止、活動継続に関する問題をいち早く発信することができました。
次に取り組んだのが、近隣市で活動する団体に出向き、お互いのニーズ共有を打診することでした。
つまり、「チームアップ」の呼びかけです。
毎日動ける人を「常駐ボラ」なんて呼ぶのですが、コロナ禍で動ける人というのは、その常駐ボラがメインでした。
その地に住み、仕事や私生活で不特定多数と関わらず感染リスクを減らせる人。
各市に日々動ける人が1人しかいないなら、その人たちでチーム組んで、一個ずつ対応していけばいい。
団体の違い、組織の違いなんで関係ない。
結果として、残ニーズには活動拠点や団体関係なく対応していくことになり、この取り組みは成功であったと、僕は確信しています。
誰のために、何のために、RATは活動しているのか。
コロナ禍も一種の災害であったと、僕は考えています。
その状況下での被災地支援活動は、皆さんご存じの通り、つい最近まで続きました。
抗体検査やPCR検査の拡充、ワクチンの開発、状況は徐々に変わりましたが、それでも広域的なボランティア募集に踏み切れない日々が続いていました。
そんな中で、2022年に立ち上げたリユースエイドテックというチーム。
RATの活動理念の一つに、「憲法第25条生存権に基づく活動」というものがあります。
「健康で文化的な最低限度の生活」は、日本国民の権利ですよ、というのが生存権です。
RATは、自然災害によってその「最低限度の生活」が脅かされたとき、日本国民としての権利を守るため、命を、生活をまもるため、活動をしています。
RATは、目の前の困っている一人ひとりのために動きます。
その人の困っていることを知り、どうしていきたいかを一緒に考え、少しでも危険を取り除いたり、その人の負担が減るように活動していきたいと、いつも考えています。
もう一度。今度はみんなではじめよう。
長かった制限だらけの日々が終わろうとしています。
この2023年夏は、コロナ禍の制限が明けてはじめての夏になります。
大雨や台風による大規模風水害が集中する「出水期」の6月末~10月が、もうもう目前にせまっています。
昨今の災害は、各地で同時多発し、コロナ禍であったこともあり、ボランティア不足による「支援の縮小」が起きがちでした。
それにより、助けが必要だと声をあげているにも関わらず、これまでのような支援が行き届かない人が増加している現状があります。
全国的な経済難と被災行政増加によるものか、義援金は年々、減少傾向だそうです。
今まで県外から駆けつけボランティア活動していたけど、広域募集がなく参加できなかった人。
興味はあったけど、参加できる機会がなかった人。
制限などにモヤモヤして、足が遠のいてしまっていた人。
さまざまな事情で、気持ちがあるのに現地に来れなかった人がたくさんいると思います。僕自身、この数年間、たくさんの「行きます」「手伝いますよ」の声をお断りすることが何度もありました。
逆に現地に行けないからこそ、新しい支援の形が生み出されもし、悪いことだけでは決してなかったはずです。
これからの被災地支援では、僕は一人ではなく、みんなで歩いていきたい。
組織や団体ではなく、ネットワーク・コミュニティという枠のない仕組みであれば、「チームアップ」への最初の壁を取り払うことができるのではないか。従来ありがちだった「ボランティアゼロ」や人手不足による支援停滞問題を解決できるのではないか。
そんな思いで、僕はRATsupporterという仕組みを考えました。
RATsは、RAT=リユースエイドテックのメンバーではありません。あくまでも、登録制ボランティアですが、RATs NESTというコミュニティを通すことで、たくさんの登録ボランティアさんと一緒に、団体で行う活動と遜色ないプロジェクトをおこすことができます。
RATs NESTでは、他団体・組織のボランティア募集や講習会の情報もどんどん共有していきます。
被災地で必要とされるニーズと、支援したい人のシーズをつなぐ。
それがRATs NESTの使命です。
RATは、あなたの「やってみたい」「こうしたらもっと良くなるはず」「こんなことを試したい」「もっと知識や技術を身につけたい」
そんな気持ちをできる限り応援します。
RAT登録制ボランティア 「RATsupporter」に登録し、RATs NESTでこれまで以上に支援に深く踏み込んだ「ディープなボランティア」を体験してください。